「高志の国文学館」(富山市舟橋南町)で現在、大正ロマンを代表する画家・詩人の竹久夢二にスポットを当てた企画展「夢二の旅-たまき・翁久允とのゆかりにふれつつ」が開催されている。
富山ゆかりの作家の作品を展示する同館。美人画作品で一世を風靡(ふうび)した竹久夢二は、絵画や詩のほか、書籍装丁や広告デザインも手掛け、近代グラフィック・デザインの草分け的存在の一人とされている。
同展は、大正時代に日本全国に広がった鉄道とともに、「異」なるものとの出会いを求めて各地を旅した夢二の作品を5つのセクションで紹介。富山ゆかりの絵画や渡米時代の写真など125点を展示する。
第4部「富山への旅、富山ゆかりの人びと-たまきと翁久允」では、大正4年に初めて富山を訪れた際に描いた風景作品「有磯の海岸」の初公開をはじめ、富山での展覧会出品作品と推測される「後園新菓」、昭和3年の黒部峡谷探訪で揮毫(きごう)した書「青山河」などを取り上げ、富山県内を巡った夢二の足跡をマップ形式で紹介。富山在住経験のあった妻・岸たまきを描いた作品「SAYONARA」「草分けの家」、晩年に渡米した立山町出身のジャーナリスト・翁久院(おきなきゅういん)の娘を描いた作品「日美・久美」、富山ゆかりの人々との交流を示す書簡や書籍などを展示する。
同館スタッフの小林加代子さんは「旅に生きた夢二の、美人画だけではない多彩な作品群が見どころ」と話す。
同展に合わせ、4月16日は、金沢湯涌夢二館・川瀬千尋さんと小林さんによる展示解説、4月23日は元聖徳大学教授の逸見久美さんによる講演会「竹久夢二と翁久允」、4月29日は金沢湯涌夢二館館長の太田昌子さんによる講演会「夢二の旅-岸たまき、翁久允と巡り合いつつ」を開く。
開館時間は9時30分~18時。火曜休館。観覧料は、一般=400円、大学生=300円。5月16日まで。