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高志の国文学館で富山ゆかりの演出家・久世光彦の企画展

TBS時代に演出を手掛けた「時間ですよ」「ムー」「悪魔のようなあいつ」などの貴重資料がそろう

TBS時代に演出を手掛けた「時間ですよ」「ムー」「悪魔のようなあいつ」などの貴重資料がそろう

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 高志の国文学館(富山市舟橋南町、TEL 076-431-5492)で現在、演出家・久世光彦の企画展「あの日、青い空から―久世光彦の人間主義」が開催されている。

大ヒットドラマ「寺内貫太郎一家」の撮影風景をイメージしたジオラマ

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 脚本家・向田邦子とタッグを組み、「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」などの傑作ドラマを数多く生んだ久世光彦は、終戦直前の1945年7月に両親の故郷である富山へ疎開。富山南部高等学校(現・富山高校)を卒業するまでの約9年近くを富山で過ごした。同展では直筆の原稿や手紙、写真などの350点に及ぶ貴重な資料を、3章に分けて展示する。

 演出家、作家としての活動を探る第1章「生きるための笑い」では、TBS時代に手掛けたドラマ「時間ですよ」「ムー」の台本、小説「謎の母」の制作ノートなどを展示。「寺内貫太郎一家」の撮影風景をイメージしたジオラマでは、定番の乱闘シーンをほうふつとさせる食卓を再現する。

 第2章「少年の日の重い体験」では、10歳から18歳までの多感な時期を過ごした富山時代に焦点を当てる。疎開した直後に富山大空襲に見舞われ、終戦を迎えた久世が「八月十五日以来あまり楽しい日などありません」と記した父への手紙や、新聞に投稿した俳句、高校の体育祭の写真のほか、年上の女性に宛てた恋文を初公開する。

 作詞家としての側面を捉えた第3章「黙(もだ)す心のうた」では、市川睦月の名義で作詞を手掛け、第35回日本レコード大賞を受賞した香西かおり「無言坂」の試聴ブースも設ける。

 同館の川渕貴さんは「今年は戦後70周年であり、久世光彦の生誕80周年でもある。久世さんが富山で多感な10代を過ごしたことや、富山大空襲に見舞われたことはあまり知られていない。この展示をきっかけに、表現者・久世光彦の出発点に触れてほしい」と語る。

 同館近くの富山教育文化会館(富山市舟橋北町)では関連イベントも開催中。7月24日に行われた小泉今日子さんの朗読劇「マイ・ラスト・ソング」を皮切りに、8月16日には映像ディレクター・堤幸彦さんによるトークショー、9月4日には作家・川上弘美さん、読売新聞編集委員・鵜飼哲夫さん、久世の妻・朋子さんの鼎談(ていだん)が企画されている。

 開館時間は9時30分~17時。観覧料は一般500円、大学生400円。火曜休館。9月7日まで。

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