富山のリトルプレス「スピニー」が11月17日、上市駅で行われた「上市えきなか古本市」より「別冊スピニー 上市町」の販売をスタートした。
富山市在住の編集者・居場梓さんとライターの高井友紀子さんが手掛けた「富山の日常を旅するガイドブック」と銘打つ同誌。2017年より、ブックイベント「ブックデイとやま」に合わせた発行で現在2号目まで制作が行われている。
新たに制作したスピニーは別冊という形で、上市町を特集。居場さんと高井さんで街を歩きながら見つけた上市の魅力を紹介する。居場さんは「実は上市町のことはあまりよく知らなかったのだが、古本市を機に上市町のことが知りたくなった。実際歩いてみると魅力的な店や場所が見つかったので、冊子にしようと思った」と経緯を振り返る。
全24ページで構成し、スイッチバック駅でもある上市駅をはじめ、町民に愛され続けている手作りサンドイッチの店や、「必ずマリービスケットがついてくる」という喫茶店、上市のお土産や風景などを掲載。表紙のイラストは、これまで発行してきたスピニーの中で風景画を描いてきたアーロン・ジョセフ・セワードさんが手掛けた。上市町の風景の一部を水彩画で緻密に描写したものになっている。中面のイラストは、アーロンさんの妻・井上佳乃子さん、デザインは高森崇史さん、写真は京角真裕さんが手掛けた。
11月17日に行われた「上市えきなか古本市」では手売りで約120冊を販売、実際手に取った上市出身の女性は「懐かしい景色に思わず胸が熱くなった。上市町の本ができてうれしい」、松本から来たという男性は「本で紹介されたところを歩いて回ってきた。こういうガイドブックはありがたい」と話した。
今後は「古本ブックエンド」(富山市総曲輪)、「ひらすま書房」(射水市戸破)、「古本いるふ」(滑川市瀬羽町)、「里山の駅 つるぎの味蔵」(上市町広野)、「マチルダ」(富山市東黒牧)ほか県内のアパレルショップや雑貨店などで販売する予定。
高井さんは「これまで上市町へ行く機会のなかった人も、スピニーをきっかけに街歩きを楽しんでほしい」と話す。
定価は350円。