「南砺市クリエーターズプラザ 桜クリエ」(南砺市立野原東、TEL 0763-62-3106)で10月9日、「南砺市×サクラクエスト間野山市」の姉妹都市提携調印式が行われた。南砺市が主催、サクラクエスト製作委員会が共催。
「サクラクエスト」は、南砺市に本社スタジオを構えるアニメスタジオ「P.A.WORKS(ピーエーワークス)」が制作するテレビアニメシリーズ。田舎町の観光大使に就任した主人公・木春由乃達を中心に、廃れたミニ独立国を再興するために奮闘するという物語。今回、同作品の舞台となる架空の田舎町「間野山市」と、ロケーションモデルとして登場する「南砺市」が姉妹都市提携を結び、調印式の観覧には約100人のファンが集まった。
式展では田中幹夫市長、東宝の斎藤雅也プロデューサーが調印書に署名。特別ゲストとして、主人公の木春由乃役の声優・七瀬彩夏さんが登壇した。田中市長は「全国各地で活性化している聖地巡礼の一歩二歩も進んだ試み。あらゆる地域の問題を取り上げたサクラクエストから、南砺市としても新しいクエストとしてまちづくりに生かしていきたい」と話した。間野山市のロケーションモデルになった南砺市を訪問した七瀬さんは「モデルになった商店街、井波彫刻、瑞泉寺などを訪れ、城端駅からの『なんバス』にも乗せていただいた。作中にも登場する欄間も生で見て感動した。アニメと現実がリンクする部分が多く、不思議な気持ちになった」と振り返った。
両市の伝統芸能として、間野山市に伝わる「龍の唄」と、南砺市の越中五箇山こきりこ保存会による「こきりこ」も披露。東京都から訪れた20代の男性は「サクラクエストを通じて、初めて南砺市に来た。アニメがきっかけで地方の伝統芸能を見ることができてうれしかった」と話す。
調印式後に行われたシンポジウムでは、「サクラクエストから考えるまちおこし」をテーマに、北海道大学観光学高等研究センターの山村高淑教授が登壇。各回の物語を振り返りながら、伝統工芸の伝承、民泊、廃校の活用など、地域社会が抱える課題を解説した。アニメから考える観光・地域振興として「間野山研究学会」の設立を目標に掲げ、来年4月に向けて準備していることを明らかにした。「肩書や地域を超えて、それぞれが抱える課題を共有し、勉強していきたい」とフェイスブックページを立ち上げ、来場したファンに参加を呼び掛けた。
その後アニメと地域活性化をテーマとして、田中市長、斎藤さん、PARUSの菊池宣広代表理事、P.A.WORKSの相馬紹二プロデューサーを交えて、パネルディスカッションが行われた。