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富山市の「LRTを軸としたまちづくり」に評価 東京大学のシンポジウムで

有識者からは「富山市はヨーロッパ都市のよう」との評価も

有識者からは「富山市はヨーロッパ都市のよう」との評価も

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 「市民目線のまちづくり」をテーマに富山市の都市経営をモデルとするシンポジウムが2月15日、東京大学で行われた。

当日のシンポジウムの様子

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 富山市は、経済協力開発機構(OECD)に「コンパクトシティの世界先進都市」として、パリ、メルボルン、ポートランド、バンクーバーと並んで取り上げられ、「SDGs(持続可能な開発目標)未来都市」に選ばれたりするなど、国際的評価が高まっている。

 同シンポジウムには、事業構想大学院大学学長の田中里沙さん、東京大学都市工学専攻准教授の中島直人さん、同大都市デザイン研究室助教の永野真義さん、富山市政策参与で博報堂ブランドデザイン副代表の深谷信介さん、CSR/SDGsコンサルタントの笹谷秀光さんが登壇した。

 中島さんは「富山市は日本初の本格的LRT(次世代型路面電車システム)導入で話題になったが、単にハード面を整備しただけでなく、市民の住みやすさを重視したソフト面にも配慮している」、深谷さんは「20年前は典型的な地方の県庁所在地だったが、先進的とされるようになったのは、市民の潜在ニーズをキャッチしているからではないか」、田中さんは「まちなかに産後ケア応援室や病児保育室があることは、働く女性にとって心強い」と評価した。

 永野さんは「あえて厳しいことをいえば、富山市民の意識調査では不満もある。コンパクトなまちづくりが、自分たちの住みよさにつながっている実感がないとの声がある」と指摘。笹谷さんは「市民の意識改革やライフスタイルの変化につなげていくには、行政からの丁寧な説明が不可欠。富山市は良いステージにあるので、今後も期待したい」と締めた。

 富山市企画調整課課長の山本貴俊さんは「路面電車の整備効果による、富山市民のQOL(生活の質)向上を評価いただけたことはうれしい。市民目線のまちづくりを進めていく上で、大変参考になった」と話す。

 なお富山市は、国の自治体SDGsモデル事業にも採択されている。

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