富山市の「そば処(どころ) まるぜん」(富山市千石町1、TEL 076-421-6932)が6月18日より、昭和当時の「富山ブラック」中華そばを再現した「中華そば だいき」の提供を始めた。
「富山ブラック」とは、戦後の復興事業に従事する労働者の栄養補給を補おうと塩分濃度の高い黒色スープや乱切りしたチャーシュー、塩気の強いメンマなどを盛り付けた濃いしょうゆ味のラーメン。1947(昭和22)年に富山市西町で開店した「大喜」が発祥とされ、現在では富山のご当地グルメとして県外客からも知られた存在となっている。
「そば処 まるぜん」は、千石町通りで自家製麺、自家製だし、手作りをモットーに創業から70年続く老舗そば店。店長の窪田憲修さんは1989(昭和64)年から1992年にかけて「大喜」で勤めた経験を持つ。当時の味を懐かしむ常連らのリクエストに応え、味の再現に乗り出した。
できるだけ当時のままの食材やレシピを踏襲しつつも「しょうゆだれ一つ作るのにも、かつて店で使っていた香川県小豆島産のしょうゆメーカーが廃業していたため、近い味わいの製品を探すのに苦労した」と窪田さんは振り返る。
店舗敷地内に作業場を構える自家製麺の技術を駆使して、粉の配合や寝かせ具合など自ら納得する麺に仕上げるなど、完成まで半年余りを要した。
窪田さんは「『だいき』とは創業者がこの商品に付けていた名前。彼の功績に恥じない中華そばに仕上がった」と自信を見せる。
商品の宣伝・広報を務める富山市の映像制作業・島倉和幸さんは「とにかくしょっぱい。塩分が高く現代人の健康志向にそぐわない商品かもしれないが、往年の味を懐かしんでいただけたら」と来店を呼び掛ける。
現在は試作段階として夜の営業時間(18時~21時)のみ、普通盛り(750円)を1日10杯限定で提供する。
営業時間は11時30分~15時、18時~21時。第1・3・5日曜定休。