立山町在住の和紙職人・川原隆邦さんが育てる「花オクラ」が8月中旬、市場へ初出荷された。
花オクラはトロロアオイとも呼ばれる植物で、花の部分は食用として使われることが多い。根っこの部分は和紙の原料として使われることから、14年前より川原さんが和紙の原料採取のために自宅の畑で育て始めた。
これまで花の部分はすべて破棄していたが、富山の青果物卸店「かねぶん青果」社長の亀谷慎一さんに打診、今年の採取したものの一部取り扱いが決定した。同社は県内の飲食店や小売販売店などへの青果物卸しを専門としており、川原さんの育てた花オクラは主にホテルや料亭など、和食店へ卸しているという。
毎日畑では約300個が採取されているといい、川原さんは「これまで花の部分は捨てていたが、本当は余すことなく使える植物。この機会に食べていただき、世の中の食卓にも少しずつ浸透していけたら」と呼び掛ける。
亀谷さんは「オクラ独特の粘り気のある花部分は、見た目がとても涼しげで美しく、夏の食材としては最適。一日花なので一般の家庭で生で食べることは難しいが、手に入れたら酢の物や天ぷらなどで楽しんでみるのもいいのでは」と話す。