富山市中心街にある「純喫茶ツタヤ」(富山市堤町通り1、TEL 076-424-4896)が3月19日にリニューアルオープンした。
3代目店主の宇瀬政厚さん・輝子さん夫妻から2016年に店を受け継いだ次男の崇さん。「昔憧れた大人の社交場を100年先も続けていきたい」と今回、リニューアルを決意した。座席の配置や家具などの空間やフード、ドリンクメニューを一新。空間には富山の設計事務所「五割一分」、フードには「キッチン花水木」の田中裕信シェフが関わった。
店内は、シックな色合いの家具でまとめ、シンプルで落ち着いた雰囲気を持たせた。外には9席ほどのテラス席も用意する。新メニューは豚肉を使ったハヤシライス「ツタヤライス」をはじめ「ナポリタン」や「ドライカレー」などで、新たなスイーツやドリンクメニューも加えた。
同店の歴史は、1919(大正8年)年に初代店主・石田忠七郎が、現店舗の前身となる甘味所を開店。1923(大正12年)年より喫茶店の営業を始め、店舗の壁画をツタが覆っていたことから「ツタヤ喫茶店」と名付けられた。富山の喫茶店第1号で、富山ゆかりの版画家・棟方志功や画家の山下清、作家の菊池寛などの文化人・著名人も多く訪れたという。
昨年、金曜と土曜にコーヒーとアルコールを提供する「ヨルツタヤ」をスタート。27年ぶりとなるモーニングも復活させ、フレンチトーストメニューなどメニューの充実を図ってきた。観光客や休日を楽しむ人のためにビールやワイン、シェリー酒といったアルコールメニューも朝から提供する。
メニュー開発に関わった田中さんは「小さな調理場で、スタッフの人たちが作れるものをという視点で考案した。特別な調味料などは使っていないが、工夫した味わいを楽しんでいただければ」と話す。
「今年でツタヤは95年目を迎える。まずは100年につなげ、その後の100年までこの看板を守り継ぐことができることを目標にしている。ずっと残していくにはどうしたらいいかをこれからも考え続けていきたい」と崇さん。「1年間かけていろいろな人に関わってもらい、いろいろな思いを持ちながらリニューアルを迎えることができた。お客さんが店のしつらえや料理、雰囲気をいいなと思って足を運んでくれれば」とも。
営業時間は7時~17時(金曜・土曜は22時ごろまで)。水曜定休。