相米慎二監督の特集上映「没後20年 作家主義 相米慎二 ~アジアが見た、その映像世界」が9月4日、富山市中心部のミニシアター「ほとり座」(富山市総曲輪)で始まる。
相米監督は1948(昭和23)年、岩手県盛岡市生まれ。中央大学中退後に日活撮影所に入所し、主にロマンポルノの助監督を務める。薬師丸ひろ子さん主演作「翔(と)んだカップル」(1980年)で監督デビュー。2作目「セーラー服と機関銃」(1981年)では、予期せず暴力団の組長になる女子高生役を薬師丸さんが演じ話題になり、興行的にも成功を収める。2001年(平成13)年、53歳で逝去。近年は「パリシネマテーク」(フランス)、「全州(チョンジュ)映画祭」(韓国)など、世界各地で作品が上映され、アジア映画の盛り上がりとともに再評価されている。
没後20年を迎える今回の特集企画では、1980年代にアイドルを起用しながら大胆な演出に挑戦し、90年代以降は繊細な心情を表現した監督の作家性にフォーカスを当てる。「ションベン・ライダー」(1983年)、「台風クラブ」(1985年)、「風花」(2001年)を週替わりで上映する。
河合美智子さん、永瀬正敏さんのデビュー作「ションベン・ライダー」は、いじめられっ子3人組が、謎の男たちに誘拐されたガキ大将の行方を追う青春冒険活劇。中学生が暴力団の抗争に巻き込まれていく様子がスリリングに展開される。
「東京国際映画祭ヤングシネマグランプリ」を受賞した「台風クラブ」は、台風の日の校舎に閉じ込められた中学生たちの狂騒を描く。工藤夕貴さんら演じる少年少女の感情の高ぶりを、みずみずしく表現する。当時は正統派イメージが強かった三浦友和さんが、無責任な教師に扮(ふん)し新境地を開いた。
遺作となったロードムービー「風花」は、鳴海章さんの同名小説を浅野忠信さん、小泉今日子さん共演で映画化。不祥事を起こした若手官僚と風俗嬢が出会い、彼女の故郷・北海道へ共に向かう。
監督の命日の9月9日には初の著書「相米慎二 最低な日々」(A PEOPLE刊)が刊行。1994(平成6)年~95(平成7)年に月刊誌で連載されていたエッセー、インタビューなどを収録する。価格は2,750円。ほとり座でも販売する。
上映スケジュール、鑑賞料はほとり座ホームページで確認できる。