漫画家、故・富永一朗さんの作品展「おとなマンガの巨匠 富永一郎展」が現在、「南砺市立福光美術館」(南砺市法林寺、TEL 0763-52-7576)で開催されている。
富永さんは1925(大正14)年、京都府生まれ。台湾の台南師範学校在学中に戦争を体験。復員後、大分県の小学校教員を経て上京し漫画家となる。代表作は「チンコロ姐(ねえ)ちゃん」「ポンコツおやじ」など。1976(昭和51)年より、テレビ番組「お笑いマンガ道場」にレギュラー出演。1992年(平成4年)に紫綬褒章、1998(平成10)年には勲四等旭日小綬章を受章。今年5月5日、96歳で死去した。
1993(平成5)年、交通安全大会の講師として南砺市の利賀村を訪れた富永さんは、村にある「瞑想(めいそう)の里」の曼荼羅(まんだら)を見て「利賀に自分の美術館を建てたい」と切望。当時の村長の尽力もあり1994(平成6)年、「富永一朗とが漫画館」を開館した。同館のために描き下ろした色鉛筆による原画など多数の作品を寄贈し展示していたが、2012(平成24)年に休館。所蔵作品は南砺市が保管することとなり、福光美術館へ移管された。
学芸員の高島裕さんは「昨年、南砺市が所蔵する美術品の展示会『南砺の玉手箱』を開催した。富永さんの作品も展示していたところ、来館者から好評の声を多く頂いた。その経緯もあり今回、富永さんの作品に絞った展示会を企画した」と振り返る。
展示では色鉛筆による原画を中心に、テレビ番組「お笑いマンガ道場」で描いたフリップや「チンコロ姐ちゃん」をはじめとする代表作、連載漫画の原画など約70点を展示。ほかにも、富永さん自身が著書の中で語った漫画に関する考え方やポリシーなどをピックアップし、キャプションとして文字で紹介する。
高島さんは「会期中に訃報が入り、とても驚いた。展示では、富永一朗という人間のトータル的な魅力を感じていただけるよう工夫している。富永さんの柔軟な発想や物事の見方なども伝えられたら。亡くなられたことはとても残念だが、作品はずっと残っていくもの。ユーモアとエネルギーを感じられる作品を見に来てほしい」と話す。
開館時間は9時~17時(最終入館は16時30分)。火曜定休。