富山・中教院前通りの神社「富山中教院」が11月29日、日枝神社内のあら香神社(「あら」は分の下に鹿)に預けている御神体を元の神社に戻す「正遷座祭(しょうせんざさい)」を行う。
1945(昭和20)年の富山大空襲後、戦災避難所より御神体を迎え、中教院前で商いを営む有志たちにより再建された同神社。「日本一小さな神社」と市民たちから呼ばれ親しまれている。現在、中教院の商店主たちを中心として構成される「中教院通り会」が維持管理を行っている。
建物の老朽化などが深刻となったことから増改築を決意。10月初旬、中教院通り会のメンバーが舟に御神体をのせ、日枝神社内の「あら香神社」に御神体を預けた。その後、1ヶ月におよぶ改修工事を行い、11月26日に工事はすべて終了した。
29日は16時より、あら香神社で御神体の仮殿遷座祭を行い、白衣をまとった同会メンバー11人による氏子が舟に御神体を乗せて日枝神社からグランドプラザ、総曲輪通り、中央通りを抜け富山中教院まで運んでいく。到着後は御神体を神社に戻す、本殿遷座祭を行う。
中教院通りで長期にわたり着物店を営んできた「蔵島屋」の上田興一郎さんは「神様は地域の人が守っていくべきもの。近年では新しい住民の方々など、多くの方にもお参りいただけており大変ありがたいと思っている。しっかり維持していきたいという私たちの気持ちが、次世代につながっていければ」と話す。当日氏子を務める、中教院通りでバーを営む稲垣隆志さんは「100年に1度あるかないかの縁起の良い行事。多くの方に見守っていただければ」とも。
日枝神社の平尾旨明宮司は「今までもこれからも、地域の人の心の拠り所として神様の御加護をいただき、地域の発展と住民が幸せな生活を送れることを願っている」と話す。