富山市総曲輪にある子どもの絵本専門古書店「デフォー」(富山市総曲輪2)で11月19日より、絵本の展示会「アフリカの絵本ってどんなの?」が開催される。
ヴェロニク・タジョ作の絵本を手に、アフリカの民族衣装を纏った村田はるせさん
「富山県立図書館」に勤めていた田中史子さんが今年2月にオープンした同店。これまでにも児童文学にまつわる展示企画を行ってきた。同展は、田中さんのもとを訪ねて来たアフリカ文学研究者・村田はるせさんの提案による企画という。
村田さんは青年海外協力隊に参加し、アフリカ・ニジェールで保育士として派遣された後、東京外国語大学地域文化研究科でアフリカ文学を研究し博士号を取得。現在、富山市内でアフリカについて学ぶ「クスクス読書会」やフォルツァ総曲輪で開講する「スコーラ・フォルツァ」で「アフリカの声を聞いてみませんか?」や「アフリカの絵本ってどんなの?」の講師としても活動している。
同展で紹介する絵本は、村田さんがアフリカに赴いた際に現地で集めた本約40冊。主に西アフリカの国々で出版されたもので、かつての植民地支配の影響によりフランス語で書かれている。内容は、紛争、家族、物語、伝承、生命と性、衛生と感染症について。村田さんは「アフリカを取り上げた絵本は日本でもたくさん読めるが、ここで紹介する本は外国の作者が外からアフリカを眺めて書いた本とは異なる」と話す。
アフリカでは本を買える人、読める人が限られる中で、できるだけ多くの子どもたちに自国の歴史や文化を伝えたいという思いから作られた本たち。この地域の児童文学の発展に貢献した先駆者たちの中でもコートジボワールのヴェロニク・タジョさんは、想像力をかき立てる文と独特な挿絵で、現代の子どもにアフリカの豊かな文化を伝える作品を多数発表し、国際的にも評価されているという。
田中さんは同展について「絵が力強いと思った。まだ翻訳もされていない、日本で紹介されたことがない本が並ぶので、子どもだけでなく大人にも見てもらいたい」と笑顔を見せる。
開催時間は11時~17時。水曜定休。会期中の土曜・日曜・祝日には、絵本の解説会と読み聞かせ会も開催。12月8日まで。