立山町芦峅寺の「富山県立山博物館」とその周辺で9月24日、立山信仰の一つである宗教儀式「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」が行われ、全国より応募で集まった女人衆役の女性約100人が、白い布を敷いた橋「布橋」を渡った。
江戸時代まで女人禁制の地であり、女性の入山は許されなかったという立山。立山登拝の拠点となる芦峅寺は、あの世とこの世の境界に位置する中宮と呼ばれ、境界となる姥谷川(うばだんがわ)に架かる橋「布橋」を渡ることで女性も極楽浄土に行くことができるといわれてきた。
同儀式は明治時代には途絶えていたが、地元住民の呼び掛けにより約20年前に現代的に復元。現在は3年に1度のペースで開催されている。
当日は、多くの観客や報道陣が見守る中、白装束に身をまとい、すげがさをかぶり目隠しをした「女人衆」が、声明と雅楽の音色に合わせて朱塗りの布橋を手を合わせながら一歩ずつ渡った。
同儀式に参加した60代の女性は「精神文化に触れる貴重な体験であり、女人衆の中には涙を流している人もいた。自分自身もすがすがしい気持ちになった」と振り返った。