富山県ゆかりの文学を幅広く発信する「高志の国文学館」(富山市舟橋南町、TEL 076-431-5492)で現在、大伴家持生誕1300年記念企画展「官人(つかさびと) 大伴家持(おおとものやかもち)」が開催されている。
大伴家持は、日本最古の歌集「万葉集」の編さんに深く関わった奈良時代を代表する歌人で、官人として政治に携わり日本各地に赴任した。その一つが富山県で、越中国の国守だった時代の歌が「万葉集」に数多く残されていることから、県民に広く愛されている。
同展を企画した学芸員の大川原(おおかわら)竜一さんは「北は東北の多賀城から南は九州の大宰府まで、家持が赴任したとされる各地の博物館等が所蔵する貴重な資料を一堂に展示している。困難な時代を懸命に生きた家持の実像を感じてもらいたい」と話す。
ゴールデンウイークには、子どもたちも楽しめるワークショップを開く。4月30日、5月7日の各日3回開催する「和同開珎(わどうかいちん)をつくろう」は、金属を型に流し込み、できた硬貨のバリを取る作業を体験する内容。「当時の作り方とほぼ同じ工程を楽しんでもらえれば」と参加を呼び掛ける。そのほか関連イベントとして、「万葉衣装体験」や「万葉を聴く」「ワークショップ 万葉仮名を書いてみよう」などを予定する。
5月11日からは当時の公文書「太政官符(だじょうかんぷ)」が、24日からは越中から都への荷札「木簡」が特別展示される。いずれも国の重要文化財に指定されており、「太政官符」には家持本人の署名が入っている。
開館時間は9時30分~18時。火曜休館。観覧料は、一般=500円、大学生=400円、高校生以下無料。6月5日まで。ワークショップは要予約。