無声映画の上映イベント「不識倶楽部 シネマクラシックス カツベンをとことん楽しむ2days」が6月3日・4日、富山市中心部のミニシアター「ほとり座」(富山市総曲輪)で行われる。
無声(サイレント)映画とは、19世紀後半から約40年に渡って上映された、音響や俳優のせりふなどの音声が入っていない映画のこと。無声映画を上映する当時の日本の映画館では、スクリーン横で演奏される伴奏と共に、「活動弁士」と呼ばれる常駐の弁士が解説するスタイル「カツベン」が流行した。現在も独自の映画文化としてファンの中で親しまれている。
1日目の上映作品は、機械文明が発達した未来都市を舞台に、資本家と抑圧された労働者たちの対立を描くフィリップ・ラング監督作「メトロポリス」(1927)。SF映画黎明(れいめい)期の傑作を、活動弁士のハルキさん、作曲家・ピアニストの新垣隆さんを迎えたカツベンスタイルで上映する。会場は同館シネマホール。
ハルキさんは、2011(平成23)年に活動弁士としてデビュー。川越スカラ座(埼玉県川越市)で定期的に公演を行うほか、自主公演や各地の映画祭に出演している。2020年には、DVD「語り継ぐ名作1 『椿姫』活動弁士ハルキ」を発売した。新垣さんは東京都清瀬市出身。作曲家・ピアニストとして活動するほか、「桐朋学園大学院大学」(富山市呉羽)の特任教授を務める。2018(平成30)年からは、「ゲスの極み乙女。」のメンバー・川谷絵音さんがプロデュースするバンド「ジェニーハイ」にキーボードとして参加している。
2日目は「無声映画の玉手箱」と題し、ハルキさんのカツベン&トークによる映画創成期の4作を上映。会場は同館ライブホール。ジョルジュ・メリエスが監督・脚本・主演などを手がけたフランス映画「月世界旅行(Le voyage dans la lune)」(1902)、日本のアニメーションの先駆者・瀬尾光世が制作したモノクロアニメ「一寸法師・ちび助物語」(1935)、「世界の三大喜劇王」と呼ばれるバスター・キートン、チャールズ・チャップリンが、それぞれ監督・脚本・主演を務めた「キートンの酋長(The Paleface)」(1921)、「チャップリンの放浪者(The Vagabond)」(1916)の4作。
イベントを主催した「不識倶楽部」代表の中川稔さんは「3日の上映会では、ハルキさんと新垣さんが織り成す、言葉と音と映像の化学反応による、その日だけの『メトロポリス』が楽しめると思う。4日に上映する映画創成期の短編4作は、大人から子どもまで親しめるバラエティーに富んだ内容。活弁は、年配の方は懐かしく、若い方は新鮮に感じるはず。古くて新しい『カツベン』スタイルの映画を、たっぷり楽しんでもらえれば」と話す。
両日とも14時開演。3日のチケット料金は、前売り=3,000円、当日=3,500円。4日は一般=1,000円、中学生以下=500円。