角川映画の誕生45年を記念した特集企画が4月30日、富山市中心部のミニシアター「ほとり座」(富山市総曲輪)で始まる。
1970年代、出版社・角川書店が製作を手掛け、出版・広告・映像業界を連動させたプロモーションを展開した角川映画。「読んでから見るか、見てから読むか。」というキャッチコピーを掲げ、低迷する日本映画界に新風を巻き起こした。第1作となる市川崑監督作「犬神家の一族」(1976年)をはじめ、深作欣二や大林宜彦らベテランから、当時は新人であった相米慎二や森田芳光ら多くの監督が作品を手掛け、現在の日本映画に影響を与えたとされている。
今回の企画では、4Kデジタル修復版「犬神家の一族」のほか、深作監督作「復活の日」(1980年)、松田優作主演の「人間の証明」(1977年)、2人の男と1人の女の奇妙な生活を描いた「スローなブギにしてくれ」(1981年)、大林監督が手掛けた大ヒット作「ねらわれた学園」(1981年)と「時をかける少女」(1983年)、薬師丸ひろ子さん主演の「セーラー服と機関銃」(1981年)と「探偵物語」(1983年)、千葉真一がアクション監督を務めた「戦国自衛隊」(1979年)、アニメ第1作となった「幻魔対戦」(1983年)の10作品を上映する。
同館スタッフの塚原珠実さんは「特集の目玉である『犬神家の一族』は、私自身、幼かったため当時の映画館では見ていないが、周囲の大人たちが話題にしていたことを思い出す。ポスタービジュアルや宣伝文句は今も鮮明によみがえる」と話す。「当館のお客さんからは、当時のフィルムの質感そのままに、デジタル化したものを大きなスクリーンと良質な音響で見られるのが楽しみと言われた。別のお客さんは、高校生の時に見た『幻魔大戦』を、息子さんと一緒に再見したいという。映画は古くならないと感じ、うれしくなった。タイトルや名ぜりふを聞いて懐かしいと思うかもしれないが、誰にとっても新鮮な映画体験になるはずなので足を運んでほしい」と呼び掛ける。
5月13日まで日替わり2週間上映。詳細スケジュールと料金は同館ホームページで確認できる。