富山市内を走る路面電車、諏訪川原停留所近くに12月1日、「太陽珈琲焙煎(ばいせん)本舗」(富山市丸の内2)がオープンした。
焙煎(ばいせん)をメーンに販売する店内は、倉庫をイメージした空間。ケニア、グァテマラ、コスタリカ、パプアニューギニアなどのストレート豆や、太陽ブレンド(MILD、STRONG)といったブレンド豆(100グラム400円~)など、常時20種類ほどのコーヒー豆をそろえる。
今月5日までオープニングセールとしてコーヒー豆とコーヒー器具の割り引き、「お徳用ブレンド」(500グラム900円)を用意。当面の間はコーヒー豆の販売のみを行うが、今後ドリンクの販売も予定している。
店主の六渡達郎(ろくどたつお)さんは、2005年に写真家として中国へ渡り、2007年より北京で「カフェ・イルソーレ」を経営。当時の店名はイタリア語で太陽を意味する名前のため、現地では「太陽珈琲」と呼ばれていた。富山での出店に際し、店名にもその名称を付けたという。
六渡さんは北京でコーヒーに触れているうち、もっと豆の目利きになりたい、焙煎してみたいと思うようになり、日本と北京を行き来しながら勉強。その後日本スペシャリティコーヒー協会コーヒーマイスターを取得した。北京オリンピック後の物価の上昇や日中関係などの問題により帰国を考え、国内にいくつか候補地はあったが、30年ぶりに故郷に戻り店を構えることを決めた。
開店にあたり、地元の護国神社・蚤(のみ)の市や大手市場などのイベントに出店し、客の好みや傾向をリサーチした。「富山の人は昆布が大好き。実はコーヒーも昆布と同じようにアミノ酸が美味しさに関係していて、通じることころがある。きっとコーヒーの味わいの奥深さを楽しめる県民性なのでは。飲む時間や一緒に食べるもの、その時のシチュエーションや気分によってコーヒー豆を変えて楽しんでもらえたら」と六渡さんは話す。
「コーヒーは農産物。焙煎は豆の品質にこだわり、クリアで口当たりが優しく、毎日の生活の中に取り入れてもらえるような味わいを追求していきたい。世界各国には独自の入れ方があり、焙煎の種類、抽出方法なども千差万別。いつもと違う楽しみ方も提案したい」とも。
市電通りに面した同店の立地は、富山市が進める「公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり」を意識。店舗を構えた後も、客との距離感が近いイベント出店は続けていくという。
写真家の活動も継続中の六渡さん。大学生のころから写真を撮っている演劇の舞台はプロデュース経験もあり、演劇に関するワークショップも開催が決定している。「コーヒー、写真、演劇、一見バラバラで共通点がなさそうなものだが、これらの面白さや楽しみ方を知ってもらい富山にその文化を根付かせていけたら」と熱く語る。
営業時間は12時~18時。日曜・月曜定休(第1・第4日曜はイベント出店)。