買う 暮らす・働く 学ぶ・知る

富山のライター・ピストン藤井さん初単行本 本名名義で富山の人と街つづる

表紙は北陸新幹線が開業する以前の富山駅。

表紙は北陸新幹線が開業する以前の富山駅。

  •  
  •  

 富山でライターとして活動するピストン藤井さんが、10月17日に本名の藤井聡子名義で初の単行本「どこにでもあるどこかになる前に。~富山見聞逡巡記~」を刊行した。

表紙をめくると富山の懐かしい風景や、藤井さん手書きの地図が現れる。

 1979(昭和54)年、富山市生まれの藤井さんは、東京で6年間、雑誌編集に携わった後、2008(平成20)年に富山に帰郷。ピストン藤井というペンネームで、富山の魅力的な人たちや場所をフリーペーパー、新聞などで紹介してきた。「富山の底知れないユニークさを独自に発信したい」という思いから、2013(平成25)年にはミニコミ「文芸逡巡 別冊 郷土愛バカ一代!ホタルイカ情念編」を自費出版。2014(平成26)年には第2号「黒部ダム怒涛(どとう)編」、2015(平成27)年には第3号「新幹線テンパリ編」、2017(平成29)年には第4号「寒ブリ逆噴射編」を制作した。

[広告]

 「どこにでもあるどこかになる前に。~富山見聞逡巡記~」(2,090円)は、藤井さんが2017年夏から2018(平成30)年末まで、出版社「里山社」のウェブサイトで連載していたルポエッセーに、大幅な加筆・修正を加えて書籍化したもの。北陸新幹線の開業によって再開発が進む富山の街並みに対する違和感や、独身女性である自身の閉塞感について率直な思いを吐露しつつ、ユニークな人々との出会いを通して、居場所を見つけていく過程がつづられる。

 初の単行本について藤井さんは「今まで富山のことを面白おかしく紹介してきたが、再開発によってアクの強い場所が失われていくことに危機感を覚えていた。決定打となったのは、富山唯一のミニシアター『フォルツァ総曲輪(そうがわ)』の休館だった。場所がなくなるというのは、そこに集っていた人々の交わりもなくなるということ。街が画一化していく流れに抵抗したいと思い、この本を書き進めた」と話す。

 藤井さんの東京時代の元同僚である清田麻衣子さんは、2012年に出版社「里山社」を立ち上げた。今回の刊行について清田さんは「藤井さんは何か偉業を成し遂げた特別な人ではない。でも富山に帰ってからの彼女の七転八倒は、『生きてるなあ!』という実感に満ちていて、ぜひ本として残してほしいと思った。地方のリアリティーや、自分の居場所を作り、育てていくかけがえのなさが赤裸々に書かれている。セプテンバーカウボーイの吉岡秀典さんの装丁も細部まで作り込まれているので、ぜひ多くの方に届いてほしい」と呼び掛ける。

 出版記念イベントとして10月27日に「富山市民プラザ」3階マルチスタジオで、藤井さんと清田さんによるトーク&スライドショーが行われる。13時30分開演。入場料1,000円。予約はメール(kiyota@satoyamasha.com)で受け付ける。

  • はてなブックマークに追加