富山市出身の消しゴムはんこ作家Kanaexpress（カナエクスプレス）の初の著書となる「たくさん押して楽しむ消しゴムはんこパターン」（980円）が2月、ブティック社より発売された。

　カナエクスプレスこと松原可奈さんは高校卒業後に渡英、ロンドンのLondon College of Printing （現在のLondon College of Communication）で版画技術を学んだ。修了後は、Camberwell College of Arts and Designでグラフィックデザインを学ぶ。主にリノリウム版画で作品を制作していたが、消しゴムとカッターさえあればどこにいても作品を作れる手軽さに魅力を感じて以来、消しゴムはんこを使った作品制作、イラスト提供などを行っている。

　同書では、丸や四角、花や鳥といった図案、初心者に向けて基本的な消しゴムはんこの彫り方や、必要な用具と材料について詳しく紹介。

　「日々の暮らしのなかで気になったものからヒントをもらっている」という図案はユニークなものが多い。包丁で切って半分にした種が見えているアボカド、真っ赤なイチゴのジャムがのったクッキー、細かいリブ編みの靴下など、独特の目線で表現。
従来の消しゴムはんこのイメージを覆す、色とりどりのインクを使ったポップなデザインが特徴となっている。

　同書発売に合わせ、東京都内の雑貨店ではこれらの図案を使い制作した作品の個展を開催。一部の作品は販売も行い、中でも毎年紙の材質やデザインを変え登場するカレンダーは人気が高い。個展と同時に開く消しゴムはんこのワークショップには参加者が多いという。

　「今後は作品の制作・販売と並行しながら、雑誌や書籍へのイラスト提供などの仕事も増やしていきたい」と松原さん。現在は、地元富山の友人が個展とワークショップ開催を企画しており、県内で作品を見られる日も近そうだ。