「千代鶴」「羽根屋」「白緑」などの地酒を取りそろえる居酒屋「DOBU6」(富山市総曲輪2、TEL 076-493-0146)で7月3日、富山市在住の彫刻・版画家の西藤博之さん主催による日本酒イベント「『國ノ泉』(くにのいずみ)を呑む会 inとやま」が開かれる。
日本酒「國ノ泉」は、酒販店「コクスイコーポレーション」(射水市)が酒蔵「福鶴酒造」(富山市八尾)と組んで立ち上げた初のオリジナルブランド。空気中の乳酸菌を自然に培養・育成させる、昔ながらの醸造方法「山廃(やまはい)」を採用している。その武骨な味わいとマッチした、力強い木版のラベルデザインを西藤さんが手掛けたことから、今回の企画が実現した。
独学で木造彫刻・木版画の技法を学んだ西藤さんは、ロック、ジャズ、ファンク、パンクなどの洋楽と仏教をモチーフにした作品を制作。仏像本来が持つダイナミズムと、ロックの荒々しい初期衝動を融合させた独自の表現スタイルで注目を浴びている。
仏像の彫像を覚えるために、法隆寺、唐招提寺(とうしょうだいじ)、興福寺、東大寺、三十三間堂、平等院といった数多くの寺院に何度も通い詰めたという。「rpm」と題した作品では唐招提寺の「盧遮那仏(るしゃなぶつ)」を取り上げ、御本尊が持つ浮遊感と静謐感を、レコードのターンテーブルとヘッドフォンで表現した。
2014年10月には射水市・光照寺で個展「誰(た)がために鐘は鳴る」を開催。境内で木彫刻の公開制作を行うなど意欲的な活動を展開していく中で、2015年の春先に日本酒「國ノ泉」のラベルの依頼が舞い込んだ。
西藤さんは今回の企画に際し、「古代の人々が酒を飲みながら語り始めたのが文学に、牛の形を壁に描き始めたのが絵画に、歌を歌い始めたのが音楽となった。すべての文化の中心には酒があった。その酒のラベルを手掛けることができたのは大変な名誉。すでに大阪で同企画を成功させているので、地元での開催は凱旋(がいせん)ライブをするような気分。飲み放題なので存分に楽しんでほしい」と話す。
当日は16時スタートで4時間「國ノ泉」飲み放題。軽いおつまみも付く。蔵元による日本酒の解説や、西藤さんの彫刻・木版画の展示も行う。参加費3,000円。