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富山の古書店で映像作家、故・佐藤真さんの上映会 新刊記念で

ドキュメンタリー映画の開拓者・佐藤真

ドキュメンタリー映画の開拓者・佐藤真

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 富山市中心部にある古書店「Bookends(ブックエンド)」2号店(富山市総曲輪4、TEL 076-461-3960)で5月5日、映像作家、故・佐藤真さんの上映会とトークショーが行われる。

新刊「日常と不在を見つめて」の書影

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東京大学在学中より水俣(みなまた)病被害者の支援活動に携わってきた佐藤さんは、1992年にドキュメンタリー映画「阿賀に生きる」を初監督。自ら新潟水俣病を生んだ阿賀野川流域に移り住み、3年にわたって阿賀に生きる人々の暮らしと風土をカメラに捉えた。

同作は当時、ドキュメンタリーとしては異例のロードショー公開がなされ、1992年度「キネマ旬報ベスト・テン」の日本映画部門3位、「ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭」銀賞など国内外で高い評価を受けた。

佐藤さんは2007年に49歳の若さで逝去するまで、数々のドキュメンタリー作品の編集・構成を手掛ける一方、京都造形芸術大学教授、映画美学校主任講師として後進の育成にも励んだ。

今回のイベントでは、知的障がいを持った7人のアーティストの活動を通し、芸術表現の根底に迫った1998年作「まひるのほし」を上映。新刊「日常と不在を見つめて ドキュメンタリー映画作家 佐藤真の哲学」を刊行した、出版社「里山社」の清田麻衣子さんを招きトークショーも行う。

清田さんが手掛けた同書には演出家の平田オリザさん、森達也さん、原一男さん、想田和弘さんらドキュメンタリー作家、美術評論家の椹木野衣さん、批評家の四方田犬彦さんなど、佐藤さんに魅了された32人の書き下ろし原稿・インタビューを収録。佐藤さんが執筆した単行本未収録原稿を含む傑作選も収録する。

トークショーでは同書を軸に、佐藤さんの仕事や思想について深く掘り下げていく。

今回の企画に際し清田さんは「大学時代に『まひるのほし』を見て、気持ちを伝えられないもどかしさを、創作活動で解放する登場人物の姿と自分が重なった。卒業論文で佐藤真監督について書き、本を作る世界を目指した。今年、ようやく佐藤監督の仕事をまとめた本を出すことができた。今こそ、佐藤真を出すべきだと思った心境や、個人の版元だからこそ出版に至った経緯をお話しできれば」と意欲を見せる。

18時開演。チケット料金は800円。問い合わせはブックエンドまで。

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