富山で単館系の映画を上映する「フォルツァ総曲輪」(富山市総曲輪3、TEL 076-493-8815)で12月28日より、個性派作品をそろえた特別プログラム「不識図鑑V」が上映される。
年末年始の恒例企画である同プログラムは、スクリーンでしか見られない貴重な作品やアクの強い衝撃作、新人監督の話題作などを一挙上映してきた。5回目となる今回は、巨匠の傑作からカルト・ホラーまで全7作を上映する。
イタリアの巨匠ベルナルド・ベルトリッチさんが、フランスの名優ジャン=ルイ・トランティニャンさんを主演に迎えたフィルム・ノワール「暗殺の森」(1970年)。幼少期の性的トラウマ(心的外傷)を抱える青年が、ファシズムへと傾倒していく過程を鮮烈な映像美で描く。
異端のドイツ人監督ヴェルナー・ヘルツォークさんが、19世紀初頭のドイツに実在した少年の半生を映画化した「カスパー・ハウザーの謎」(1975年)。地下牢(ろう)で幽閉されて育ったカスパー少年の数奇な運命を描く異色作。
ノーベル賞作家や有名写真家が、こぞって自著の出版を熱望するドイツの出版社シュタイデルに密着したドキュメンタリー「世界一美しい本を作る男」(2010年)。一冊の本を芸術品にまで高めるといわれる、創始者ゲルハルト・シュタイデルさんの妥協なき本作りの秘密に迫る。
気鋭の新人監督・松居大悟さんが、女子高生たちの一夏の冒険を描いた青春映画「私たちのハァハァ」(2015年)。ロックバンドの追っかけをする4人の女子高生が、ライブを見るために地元の北九州から東京まで、1000キロの距離をママチャリで走破する。
「人間たちの口と肛門をつなぎたい」という衝動に駆られたマッド・サイエンティストの狂気を描くカルト・ホラー「ムカデ人間」(2009年)。凄惨(せいさん)な残酷描写ゆえに各国で上映禁止の憂き目にあった問題作を、より過激となった2作目(2011年)、完結編の3作目(2015年)のシリーズ全作を上映する。
同館スタッフの中川さんは「誰もが共感できるような等身大の作品もあれば、屈折した人間心理をエログロで表現した作品もある。食わず嫌いをせず、映画の多様的な魅力を楽しんでほしい」と話す。
上映は来年1月5日まで。上映時間はホームページで確認できる。