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富山で「ヘボコン」 北陸初開催、「低性能」ロボットによる相撲大会

低い技術力が一堂に集結した「ヘボコン」富山大会

低い技術力が一堂に集結した「ヘボコン」富山大会

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 「グランドプラザ」(富山市総曲輪3)で10月12日、ロボット相撲コンテスト「ヘボコン」が初開催された。
技術力の低い不器用な人たちが制作したロボットを持ち寄り、トーナメント形式で戦わせる同大会。文化庁メディア芸術祭富山展「トヤマウォーカー」の一環で、北陸での開催は今回が初めて。

低い技術力が一堂に集結した「ヘボコン」富山大会

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 ロボットの高度な技術力が問われる本家「ロボコン」に対し、「いかに稚拙であるか」が問われるのが本大会の趣旨。主催者の石川大樹さんは「(高性能な)完成作ではなく、世に出てこない失敗作を見たいと思い、2014年にヘボコンを企画した」と話す。
高度な遠隔操縦や自動操縦システムをロボットに実装すると「ハイテクノロジーペナルティ」が課せられるルールのもと、富山大会では16体のロボットが参戦した。

 泡を出したり、麦チョコをばら撒いたりと攻撃性のないギミックを無駄に繰り出し自滅する物や、動力のソーラーパネルが曇り空のため全く役に立たない物、干物の「くさや」をうちわであおぐ物まで、「腕に覚えのない」参加者たちが格安工作キットをベースにした「ポンコツ装備」を駆使し、ゆるい戦いを繰り広げた。

 当日は、終始笑い声に包まれながら進む試合展開の中、富山特産の「ブリ」を模した「ブリリアントブリ小僧」(ポヨポヨメーカーズ、金沢市)が優勝に輝いた。フェルト地で作ったというブリのほのぼのとした外見とは裏腹に、激しく左右に揺れ、往復ビンタのように相手を払いのけるブリの活躍が決め手となった。

 「総曲輪ノリスターズ」は、老舗ビリヤード場「玉突」(総曲輪2)の名物店主・水野田鶴子さん(85)をモチーフにしたロボットで「審査員特別賞」を獲得。同ロボットは、本体から緑色のスライムをはき出す必殺技を仕掛けたものの不発。2回戦敗退となったが、圧倒的な存在感を放っていた。

 「技術力が最も低かった賞」を獲得したのは「V8」。カエル8体を空気ポンプで跳ね上がらせる仕組みだが、重すぎてビクともしなかった点が「ヘボすぎる」「メタリックな塗装だけがやたら丁寧」と高評価を得た。

 当日は、アメリカの科学雑誌「ポピュラー・サイエンス」の記者も、「黒船」ヘボロボットを引っさげて参戦。船を陸で戦わせる強行策であっさり敗退したものの、「ここはクールジャパンではなくクールヘボだ」と満足げにほほ笑んでいた。

 熱戦を終え、審査員を務めた「虚構新聞社」社主のUKさんは「魚肉ソーセージで殴り合っているような緊張感がある」と大会を振り返る。石川さんは「もはや仮装大賞に近いレベル。これからもどんどんエスカレートしていってほしい」と総括した。

 同大会の関連イベントとして、10月24日・31日に明治神宮外苑絵画館前(東京都新宿区)で、技術力とデザイン力の低いロボット限定の大会「デザヘボコン」、11月7日に西日本総合展示場新館(福岡県北九州市)で「九ヘボコン」を開く予定。

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