「インテックスカイホール」(富山市牛島)で9月16日、「機動戦士ガンダム」の総監督・富野由悠季(とみのよしゆき)さんが初来県し、講演会「共感力の意味を考えたことがあるのだろうか?」に登壇した。
富山青年会議所の創立65周年記念として開かれた同講演会。3連休の初日ということもあり、会場には県内外から多くの富野監督ファンが集まった。
2年後となる2019年秋に開催予定の「公益社団法人日本青年会議所 第68回全国大会」の主管に決定している同団体。全国大会に向けて行政や他団体との連携強化が必要と感じ、団体の会員が身に付けなければいけない要素として「共感」を掲げた。本年度の集大成と位置付ける同講演会で「共感力」というテーマを採用した。
同団体の会員は「ガンダムの作中に登場するニュータイプという概念は、敵味方や性別、距離をも超越した共感力を発揮する存在として描かれているため、富野監督に講演をお願いした。ガンダムの著作権管理元のサンライズさんに伺い、富野監督とも話して今回の講演会を実現できた。富野監督からの激励を無駄にしないためにも、共感力を発揮して連携を強め、コンパクトシティーや環境未来都市の実例である富山市をPRしていきたい」と全国大会に向けての意気込みを話す。
富野監督は講演の中で「共感力とは、多種多様である世間一般の人々からの理解を得るには、どうすればよいかを考えること。物事のうわべだけで判断するのではなく、目線をどこに置いた上で本質を知ろうとするかが大切」と話した。講演会終了後は約1時間ファンと交流し、熱心な質問に答えていた。
会場に訪れた県内の富野監督のファンは「『ガンダム』だけではなく、『OVERMAN(オーバーマン)キングゲイナー』や『リーンの翼』といった作品も好きなので、今日を心待ちにしていた。同じ空間にいられただけで光栄。謦咳(けいがい)という言葉の、間近でせきばらいを聞けるだけで幸せという意味を実感している」と興奮の様子を見せた。同じく県外からの参加者は、GUNDAM.INFO(ガンダムインフォ)というガンダム情報の公式ポータルサイトで講演会を知り、富山まで足を運んだ。3連休は近隣の名所を巡るなどして富山を満喫したい」と県内の観光地にも期待していた。
一般社団法人アニメツーリズム協会の会長でもある富野監督は、「富山から3カ所(上市町、南砺市、氷見市)が『日本のアニメ聖地88か所』に選ばれたことを良い機会として、県民の間で意識改革が起こることを期待したい」とも話した。