富山県南端、岐阜県との県境に位置する大長谷地域に昨年、ジビエ専門食肉処理施設「大長谷ハンターズジビエ」(富山市八尾町中島)が完成し、同地域にある「村上山荘(大長谷ふるさとセンター)」(八尾町庵谷、TEL 076-458-1415)で4月14日、イノシシを使ったミートソースや石窯ピザの提供が始まる。
「大長谷ハンターズジビエ」ではイノシシ、シカ、クマなど各種部位ごとに販売。ブロック~一頭売りなどにも対応する
同山荘は同施設よりさらに山間部にある白木峰の麓にあり、山荘と食事処を併設している。もともと釣り人や登山者を対象に開設された山荘は、人口が減り限界集落と呼ばれる大長谷地区にありながらも、山菜やイワナ、キノコなど季節ごとの山の恵みを生かした料理が味わえることで客足が絶えない。食事処の料理人・村上恵美さんは「険しく厳しい場所にあるからこそ崩れずに残っている自然を残したい。人が減っていく中、食で人を呼べるのではと思った」と話す。
「大長谷ハンターズジビエ」代表の石黒木太郎(もくたろう)さんは大長谷で生まれ育ち、2014年に23歳で狩猟免許を取得。2015年に京都で開催された狩猟サミットに参加し、個人が作った食肉解体処理施設を見学したことで刺激を受け、約1年足らずの期間で自らの手で同施設を作り上げた。富山県下では4番目、猟師自らが運営するものとしては県内初となるジビエ専門食肉処理施設となる。
石黒さんは「食べる人に、食材の背景をもっと感じてもらえたら。本当においしいものは口に入れると情景が浮かぶ。自分で最初から最後まで見ているからこそ感じる、味以上のものを伝えたい」と話す。
「幼いころから慣れ親しんだジビエをもっと一般の人にも普通に食べてもらえるよう、小売りもやりたい。今は人手が足りない状態。今できることは自分の代で途絶えると思っていた先輩猟師から学び、解体技術を磨き、最高の肉質でおいしいジビエを食べてもらうこと」と意気込む。
村上さんは「ジビエ料理を強化していきたい。事前に予約いただければジビエのコースや定食にも対応する」と利用を呼び掛ける。
営業時間は11時~17時。木曜定休。