映画「ヤジと民主主義 劇場拡大版」の上映が2月24日、富山市のミニシアター「ほとり座」(富山市総曲輪)で始まる。
同作は、2019年7月15日に北海道・札幌市で起きた「ヤジ排除問題」を追及するドキュメンタリー。当時の首相・安倍晋三の遊説中、プラカードを持ち政権批判の声を上げた市民を北海道警察が取り囲んで移動させた騒動は、表現の自由と民主主義を脅かす「ヤジ排除問題」としてメディアで大きく報道された。その後、排除された市民2人が原告として道警側を訴え、1審は原告側が勝訴。高等裁判所では判断が分かれ、双方が最高裁判所に上告し裁判が続いている。
今回の劇場拡大版は、2020年に北海道放送が制作したドキュメンタリー番組「ヤジと民主主義」を基にしたもの。同番組はギャラクシー賞、日本ジャーナリスト会議賞などを受賞し、2022年には書籍化された。テレビ版から合わせて4年をかけた劇場版では、当事者と専門家に追加取材を行い、さらなる問題の深刻さを映し出す。ナレーションは作家の落合恵子さんが担当する。
監督の山崎(「崎」は「たつさき」)裕侍さんは1971(昭和46)年生まれで、北海道・千歳市出身。大学卒業後に東京のテレビ番組制作会社に入社し、テレビ朝日「ニュースステーション」「報道ステーション」でディレクターを務める。犯罪被害者や死刑制度の取材、「女子高生コンクリート詰め殺人事件」の加害者に焦点を当てた特集などが反響を呼ぶ。2006(平成18)年に北海道放送へ転職し、警察・政治キャップや統括編集長を経て現在は企画デスクを担当。臓器提供、地域医療などをテーマに多くのドキュメンタリーを生み、カメラ片手に現場での取材を続ける。今回の劇場版でも、取材で集めた素材から構成を立て、自ら編集を手がける。
上映初日となる2月24日、山崎監督が舞台あいさつとティーチイン(トーク&質疑応答)を行う。司会はチューリップテレビの嘉藤奈緒子アナウンサー。
舞台あいさつは10時の上映回後=11時45分ごろから。ティーチインは「ほとり座」があるビル3階の会議室で12時ごろから。上映は3月8日まで。