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富山「ほとり座」で塚本晋也の2作上映 映画「ヒルコ/妖怪ハンター」「野火」

大岡昇平原作の戦争映画「野火」

大岡昇平原作の戦争映画「野火」

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 塚本晋也監督のメジャーデビュー作「ヒルコ/妖怪ハンター」が8月14日から、戦争映画「野火」が21日からミニシアター「ほとり座」(富山市総曲輪)で各1週間限定上映される。

「ヒルコ/妖怪ハンター」のポスター

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 1960(昭和35)年、東京生まれの塚本監督は、1989(昭和64)年に「鉄男」で劇場映画デビュー。同作で「ローマ国際ファンタスティック映画祭」グランプリを獲得する。体が鉄くずに侵略されていく男の七転八倒を、疾走感のあるコマ撮り、メタリックな映像美と音楽で描き、SFサイバーパンク映画の先駆けとなる。

 都市空間における人間の肉体性をテーマにした「東京フィスト」「バレット・バレエ」「六月の蛇」のほか、江戸川乱歩原作「双生児」などで国内外の映画賞を多数獲得する。最新作は自身初の時代劇「斬、」(2018)。監督のみならず脚本、撮影、美術、編集のほか、時には主演も務めるなど、映画制作のさまざまな工程に携わるスタイルを貫く。俳優としてマーティン・スコセッシ監督作「沈黙 サイレンス」、大河ドラマ「いだてん」などにも出演する。

 今回上映される「ヒルコ/妖怪ハンター」(1991)は、田舎の中学校を舞台に、考古学者と中学生のおいっ子が、古墳からよみがえった妖怪ヒルコと死闘を繰り広げるSFホラー。原作は諸星大二郎さん、主演を沢田研二さんが務める。同作に関して「ほとり座」スタッフの樋口裕重子(ゆちこ)さんは、「初公開から30周年を迎える今年、新たにレストア&リマスターされ、生い茂る植物、風景、夏の暑さが鮮やかに映し出されている。ロケ地が朝日町ということもあり、当時の富山の空気も捉えられているかのよう。ホラー映画ながら、親近感を持って楽しんでいただけると思う」と話す。

 大岡昇平原作の戦争映画「野火」(2014)は、塚本監督が長らく構想を温めていた意欲作。第2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島を舞台に、孤立した日本軍兵士の視点から戦場の凄惨(せいさん)な実態をあぶり出す。樋口さんは「初公開時、小学生だった息子たちと一緒に劇場で見た。その時の『戦争は怖い、戦争は嫌だ』という感覚は、彼らが高校生になった今も強烈に覚えている。映画体験だからこそ、その感覚が体に残っているのだろう。今回も一緒に見て考えたいと思う。劇場に足を運んでいただき、戦争や平和について話すきっかけをつくっていただければ」と話す。

 上映スケジュール、鑑賞料は「ほとり座」ホームページで確認できる。

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