岩井澤健治監督によるアニメ映画「音楽」が3月27日から、富山市中心部のミニシアター「ほとり座」(富山市総曲輪、TEL 076-422-0821)で上映される。
同作は、俳優としても活躍する漫画家・大橋裕之さんのコミック「音楽と漫画」が原作。楽器に触ったことがない不良学生たちが、思いつきでバンドを始めるというストーリー。実写の動きをトレースする手法「ロトスコープ」を用い、岩井澤監督が4万枚以上を手描きで作画。7年を費やして映像化した。野外フェスシーンでは実際にステージを組み、ミュージシャンと観客を動員してライブを敢行。ダイナミックな表現を目指し、これまでのアニメ作品にはない試みを行った。ミュージシャンの坂本慎太郎さんや岡村靖幸さん、俳優の竹中直人さん、駒井蓮さん、前野朋哉さんらが声優として参加している。
2019年に世界4大アニメ映画祭の一つ、カナダ「オタワ国際アニメーション映画祭 長編コンペティション部門」でグランプリを受賞。2021年には「第24回文化庁メディア芸術祭 エンターテインメント部門」で大賞を受賞するなど、国内外で高い評価を得ている。
富山では昨年の春、中央通りにあったシネマカフェ「ほとり座」で上映していたが、新型コロナウイルスの影響によりカフェが休業。やむなく上映を中断した。同館オーナーの田辺和寛さんは再上映について「今は移転して映画館になったので、映画館ならではの迫力と音響で見て体感してもらいたい」と話す。
作品については「動きと間が絶妙。余計な派手さが全くないリアルな動きに、シュールなタッチの絵とのギャップがとても面白い。10代のあふれるエネルギーや、音楽が持つ突き動かすほどの衝動もうまく描かれていて、自分も音楽から受けた衝動や初心を思い出した」と話す。
再上映初日となる27日の上映後には、岩井澤監督が舞台あいさつに登壇する。監督に聞きたいことについて、田辺さんは「なぜロトスコープを使ったのかが気になっている。作画の際に意識した部分、原作をアニメ化するに至った経緯など、制作秘話をたっぷりと聞きたい。好きな作品やその他の趣味、お気に入りのお店など、面白い作品を作る監督の素顔に触れるような質問もできたら」と話す。
上映スケジュール、鑑賞料は「ほとり座」ホームページで確認できる。4月2日まで。