世界5大ポスター展の一つに選ばれている、国内唯一の国際公募ポスター展「世界ポスタートリエンナーレトヤマ2015」が9月19日に開幕した。
1985年(昭和60年)に海外で評価され始めていた田中一光、亀倉雄策、福田繁雄らグラフィックデザイナーたちの働き掛けから始まった同展。3年に1度、世界中から最新のポスターを公募し、審査・選抜する日本唯一の国際公募展だ。
誰でも応募可能。紙の質感やインクの発色まで審査の対象になっており、必ずポスターの現物を送ることが唯一の条件となっている。
今回は世界57の国と地域より、計3845点のポスターが寄せられた。富山県近代美術館では、入選・受賞作品を中心に招待作品を加えた約380点を紹介する。
期間中は市内各所でポスターによる街の活性化を狙いとした協賛イベント「ポスターの街とやま」も開催され、富山の街の至る所でデザインに触れる機会を増やしている。富山駅でも今回の受賞作品などを展示しているほか、中央通りや総曲輪、マリエとやまではTOYAMA アートディレクターズクラブの会員デザイナーによる応援ポスターなどを展示。富山商工会議所の西壁面にはグラフィックデザイナー永井一正さんによってデザインされた縦15メートル、横10メートルの超特大ポスターが展示され、街を歩く人々の目を引いている。
今回のグランプリはラルフ・シュライフォーゲルさん(スイス)が制作した「ヴァインガルト・タイポグラフィー展」が受賞した。金賞にはヴィエスワフ・ロソハさん(ポーランド)の「もうひとつのエリア、もうひとつのフォーマット」と、尾崎美穂さん(富山)の「70years after the war」が選ばれた。同展が始まって以来、県内のデザイナーが受賞するのは初めて。
富山県立近代美術館学芸課の三木さんは「これまではフリーテーマだったため、世界のポスターを見ても多言語で書かれたポスターが何を表現しているのか分かりにくい部分があった。今年から見る人が共通の認識を持って楽しむことができるように、テーマを設定した部門を新設する試みをしている。商業デザインのポスターはある程度ジャンルをまとめて展示をするなどの工夫もしている」と話す。
同館の開館時間は9時30分~17時。観覧料は一般900円、大学生650円、高校生以下無料。11月23日まで。