総務省が1月29日に発表した「家計調査」(2015年12月分)で、富山市の一世帯あたりの年間昆布購入額が2,529円となり、2014年に続き2年連続の日本一が確定した。
富山人が好む「羅臼昆布」は肉厚で長さは1.5~3m。知床半島の東側でしか採れない
富山人の昆布に対する思いは非常に強く、市内に住む60代女性は「富山の郷土料理に昆布は欠かせない。日本1位は当然。どんな料理にも昆布を使う、といっても過言ではない」と話す。30代女性からは「とろろ昆布のおにぎりは、富山県民のソウルフード。運動会のお弁当のときに、8割の家族が持参しているほど。のりを巻くおにぎりは、邪道だと思う」との意見も出た。
富山市は同ランキングで1960(昭和35)年の統計開始以来53年間1位を保持していたが、2013年の調査では京都市に日本一の座を奪われた。その悔しさをいまだに口にする県民も多い。
県内で昆布問屋を営む四十物(あいもの)さんは「富山の家庭は知床半島東部で採れる羅臼昆布を愛用し、昆布締め、焼き昆布、おつまみ昆布などバラエティーに富んだ活用をしている。2013年に2位になったのは、利尻昆布が不漁のため高騰し、利尻昆布が好まれる京都の購入額が一時的に上がったため。あくまで昆布好き日本一は富山であることに変わりはない」と自負する。
富山と昆布の歴史は古く、江戸時代の北前船によって北海道の昆布が富山を経由し京都・大阪に運ばれたことが由来とされる。現在でも、羅臼昆布の産地である羅臼町の7割が富山出身者だといわれるほど関係は深い。
四十物さんは「実は富山湾で昆布は採れない。しかし昆布の王様である羅臼昆布は、富山の食文化には欠かせないもの。とはいえ、購入額は2005年をピークに半額程度となっている。富山の若い人にもっと昆布を親しんでもらいたい」と語る。