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富山で「松本清張」企画展 北陸・富山の魅力を清張作品で掘り下げる

取材旅行を重ねた松本清張の旅行バックとカメラも展示

取材旅行を重ねた松本清張の旅行バックとカメラも展示

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 高志の国文学館(富山市舟橋南町、TEL 076-431-5492)で現在、企画展「松本清張を魅惑した北陸 ミステリー文学でたどる」が開催されている。

富山ゆかりのミステリー小説の舞台を記した地図

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 ミステリー小説の大家・松本清張は、昭和30年代に「点と線」「ゼロの焦点」「砂の器」といった、数多くの傑出したベストセラー作品を発表。犯行の動機だけでなく、犯罪をもたらした現代社会の闇を緻密に描き、「社会派ミステリー」というジャンルを築き上げた。それまで多くの小説が東京周辺を舞台としていたのに対し、日本各地を取り上げ、その景観や風物を旅情豊かに描写。旧・国鉄の「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンや、鉄道ファンによる「ブルートレイン」ブームもあいまって、多くの観光客が清張作品の舞台となった地方を訪れたといわれている。

 中でも北陸・富山は、清張作品の舞台や関連地として数多く取り上げられた。同展ではその清張作品をメーンに、様々なミステリー小説の世界観を構築した北陸の風土と魅力に肉薄する。

 第1部「松本清張が描いた北陸 ロマンと愁情」では、北陸を舞台にした清張作品を取り上げる。北アルプスを舞台にした山岳ミステリー「遭難」、能登半島の「ヤセの断崖」を筆頭に、日本海側の荒涼とした風景が登場人物の心象とリンクする「ゼロの焦点」、したたかに生きる越中女の業を描く「けものみち」などを、自筆原稿や取材写真、映画台本などの貴重資料を交えて紹介。保険金殺人の嫌疑をかけられた「北陸一の毒婦」の弁護人と、地方新聞記者との攻防を描く「疑惑」では、射水市の富山新港(原作では「北陸T市の新港」)が舞台。閉鎖された地方都市に生きる人々の偏見によって、事件が偽装されていくさまを、清張自身のコメントとともに解説する。

 第2部「ミステリー文学の舞台・富山」では、清張作品のみならず西村京太郎、内田康夫、梓林太郎ら有名作家が手掛けた富山ゆかりの作品を取り上げ、物語のキーとなった富山県内のスポットをマップ形式で紹介する。

 会場に訪れていた富山市の30代女性は、「陰のある北陸の風土が清張作品には欠かせないことを知った。富山を舞台にしたミステリー小説が、こんなにも多いのかと驚いた。立山・黒部や八尾を舞台にした作品を読んでみたい」と話す。

 開館時間は9時30分~17時。観覧料は、一般=400円、大学生=300円、高校生以下無料。火曜・2月12日休館。3月7日まで。

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