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富山市八尾町の「桂樹舎」で 吉田桂介生誕100年記念展

吉田桂介が残した貴重な収集品が収められる「和紙文庫」

吉田桂介が残した貴重な収集品が収められる「和紙文庫」

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 富山市八尾町で伝統的な越中和紙を作り続ける「桂樹舎」(富山市八尾町鏡町)で10月10日から、「吉田桂介生誕100年記念展」が開催される。吉田桂介は「桂樹舎」の創設者で、紙すき職人であり、目利きとしてもよく知られた人物。2014年に99歳で他界するまで、優れた芸術家や思想家たちとの親交を通して、現代の暮らしにもなじむ数々の和紙製品を世に送り出してきた。

記念展のポスターは「桂樹舎」代表の吉田泰樹さんによる型染めで仕上げられた

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 民藝(みんげい)の染色家、芹沢銈介から学んだ型染めの技法を生かして、和紙に型絵染をいち早く取り入れ、ペン立てやブックカバー、名刺入れなどの和紙小物を制作。それらは全国のセレクトショップや雑貨店で人気を集め、若い世代が民藝に興味を持つきっかけにもなった。「桂樹舎」の代表で吉田の長男・泰樹さんは「和紙業界では父は希有(けう)な存在だった」と振り返る。今回の展示では、吉田が長年制作してきたびょうぶや額絵、装丁を手掛けた本、木のお盆など約30点の作品を展示予定。併せて、師である芹沢銈介の作品も十数点展示する。

 さらに、同じ敷地内にある「民族工芸館」では、吉田が収集してきた品々を展示。焼き物やアフリカのお面、布もの、アイヌの衣装、朝鮮や韓国のものなど約70点に上るコレクションを陳列する。民藝運動を起こした柳宗悦の「モノの見方」に忠実に選ばれた、吉田の目にかなった貴重なものばかりという。

 同展を主催する「手仕事フォーラム」の前代表である久野恵一はかつて、吉田について「彼のすごさは、収集品から美の内実をくみ取り、新たな品物に昇華させたとことにある」と評し、度々彼の元に足を運び、ものを見る目や美しさの価値観を共有してきた。同展に併せ同日、上新町公民館(八尾町上新町)では「手仕事フォーラム」の公開フォーラムも開かれる。

 開館時間は10時~17時。入館料は500円(坂のまちアートinやつお開催期間中10月10日~12日は無料)。12月28日まで。

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